SRC歩行器やポニー歩行器の使い方?

 多くの子どもたちが、SRC歩行器やポニー歩行器と称する玩具を用いて、歩行への導入として運動療法が療育施設や特別支援学校などで行われているようなのです。
 SRC歩行器やポニー歩行器が、何かの運動機能を伸ばすお手伝いをしているのでしょうか?

 これらの玩具を販売する企業の説明では・・・
 SRCウォーカー:上体が不安定な人でも、サドルと体幹パッドでホールドする事によって安定した前傾姿勢が取れます。下肢に体重がかからない状態で足を伸ばすと、自然に前進運動ができます。テーブル高さ、体幹パッド角度、サドル高さが無段階に調節できます。
 ポニーウォーカー:SRCウォーカー対象の方よりも小さい方のためのウォーカーです。遊具感覚で自力移動への動機づけになります。
 このように宣伝されているのです。
 一方、定型発達をするベビー用の歩行器について、これを勧める方々は・・・
 昔、保育所では必ず置かなければならない物でした。小さい頃、歩行器を使用していたという人もいるのではないでしょうか。それが近年、事故の多発や赤ちゃんの成長を妨げるとして、勧められなくなってきました。でも、正しい使い方をすれば、歴史ある歩行器にも良いところはあるんです。
 歩行器の選び方:ほとんどの歩行器が、走行が静かで折りたたみができる、収納がしやすい歩行器になっています。歩行器をどのように使うのかで選び方が決まってきます。食事用に使うのか、おもちゃとして使うのかということです。
 おもちゃつき:おもちゃのついている歩行器があります。おもちゃつきは、少しの時間赤ちゃんに遊んでいてもらいたい時に使います。食事のときはおもちゃを取り外しできます。知育おもちゃは実際に家庭にある電話などがついていますし、人気キャラクターのおもちゃでも手を動かすので充分良い遊びだと思います。ミッフィー、アンパンマン、スヌーピー、プーさんといったキャラクターは赤ちゃんに人気です。おもちゃのついていない歩行器は、食事の時などけじめをつけやすいです。
 事故防止:歩行器が反省されるようになったひとつには、事故が多くなったことにあります。玄関などの段差に落ちるという事故が多いのです。これらを防止するための、セーフティーガードやストッパーがついていると歩く範囲が限られたり、転倒防止になるので安心ですね。
 歩行器って本当に必要?:歩行器は、お座りができるようになった赤ちゃんから使用することができます。赤ちゃんは、はいはい→お座り→つかまり立ち→伝い歩き→あんよと少しずつステップアップします。お座りができたからと言って無理に歩かせようとすると、体に負担がかかると言われています。また、歩行器はちょっとの力で進むことができるので、成長した時につま先しか使わなくなり、けがをしやすくなると言われています。昔から、大人が早く歩いて欲しいと願って使われていた歩行器ですが、赤ちゃんのペースでゆっくり見守る現在ではあまり必要のない道具です。
 歩行器の正しい使い方:しかし、使いすぎないようにすれば、歩行器は便利な器具になります。歩行器で食事を与えるお母さんもいますが、遊びと食事のけじめがつくなら問題ありません。赤ちゃんにとっても、歩行器に座ることで目線が高く新しい世界が見渡せます。ベビーカーでも、チャイルドシートでも、座らせすぎは良くないということです。
 このように紹介しながらも、注意点を記しているのです。
 健康な乳児が使用する歩行器と、障害によって立位や歩行が難しい子どもが使う歩行器、もっと正しく説明して注意点を伝えておく必要が有るのではないでしょうか?

 健康な乳児が使用する歩行器でさえも、下記のような点について注意を促しているのです。
① 事故の多発や赤ちゃんの成長を妨げるとして、勧められなくなってきました。
② お座りができたからと言って無理に歩かせようとすると、体に負担がかかると言われています。
③ 歩行器はちょっとの力で進むことができるので、成長した時につま先しか使わなくなり、けがをしやすくなると言われています。
④ 使いすぎないようにすれば、歩行器は便利な器具になります。歩行器で食事を与えるお母さんもいますが、遊びと食事のけじめがつくなら問題ありません。
⑤ 赤ちゃんにとっても、歩行器に座ることで目線が高く新しい世界が見渡せます。
⑥ ベビーカーでも、チャイルドシートでも、座らせすぎは良くないということです。
 このように書かれており、これらは障害の有る子どもにも適応すると考えられます。特に②と③は重要です。

 〔お座りができたからと言って無理に歩かせようとすると、体に負担がかかると言われています。〕
 座位保持もできていない障害児に、SRC歩行器やポニー歩行器を使わせることは問題ないのでしょうか?
 〔歩行器はちょっとの力で進むことができるので、成長した時につま先しか使わなくなり、けがをしやすくなると言われています。〕
 障害児では、歩くことも無いから使用しているのでしょうか? それとも〔歩行器に座ることで目線が高く新しい世界が見渡せます。〕と考えるのでしょうか? どちらにしても、このような玩具を使わなくとも目的に合わせて、もっと適切な玩具が有ると思えるのです。
 ここでちょっと補足させてください。
 〔歩行器はちょっとの力で進むことができるので、成長した時につま先しか使わなくなり、けがをしやすくなると言われています。〕と書かれていますが、他の点でも問題なのです。
 私たちは、生活の中で様々な防禦反応(反応や反射)によって、身体を事故から守ろうとしています。そんな中にパラシュート反応(反射:parachute reflex)が有ります。この反応は、生後6ヶ月頃から10ヶ月頃に現れる反応であって、現れた後には生涯の間消えることは無い反応なのです。
 parachute reflex:現れる時期として、出生後6ヶ月頃に前方→8ヶ月頃に側方→9ヶ月頃に下方→10ヶ月頃に後方に可能となるのが乳児の発達検査での課題となっています。
 このパラシュート反応によって、二足歩行に入って転倒した時などに、手で地面や床を支えて、顔や頭を地面や床にぶつけないように保護しようとする反応なのです。この反応を発達させると考えられているのは、四つ這いやいざり這いの移動の獲得であって、これらの四つ這いやいざり這いが充分に行われなかった子どもが、二足歩行となり倒れた際に、顔や頭を打ち、大きな怪我となっているのです。この怪我は、保育園や幼稚園・小学校で、倒れた際に起きている現象です。
 ですから、床での移動手段の獲得や、立位や歩行バランスを獲得する以前に、このような玩具での立位の真似事などは行わないのが良いのです。
 誤学習の修復は、新たに学ぶよりも時間がかかります。遭えて誤学習をさせないでください。

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